カーボンニュートラルニュース vol.31
(2025.06.16)
「燃料電池シンポジウム」で
大学や企業が最新の研究成果を公表
海外事情の報告や経産省による支援策の説明も
講演の様子。最先端の水素研究を行う大学・企業の研究者が一堂に集まった
5月22・23日(木・金)、タワーホール船堀で「第32回燃料電池シンポジウム」が開催された。燃料電池・水素分野の研究成果発表と情報交換を目的とした催しで、大学からは東京科学大の今岡亨稔教授、山梨大の飯山明裕教授、同志社大の稲葉稔教授などから燃料電池の触媒材料に関する最新研究成果が発表されたほか、山口大の中山雅晴教授による海水から水素をつくる「海水電解」の基礎研究、東京海洋大の大出剛教授による水素燃料電池船の開発状況についての報告なども行われた。企業では、㈱日立製作所が宮城県富谷市や福島県浪江町で行った水素サプライチェーン実証実験の様子やパナソニック㈱が滋賀県草津市の工場で行っている必要なエネルギーを100㌫再エネでまかなう「RE100」事業、ENEOS㈱はグリーン水素とCO₂を原料とする合成燃料の日本初となる一貫製造プラントを解説、日野自動車㈱は大型トラック長距離走行実験から浮かび上がったFC冷却の課題などさまざまな取り組みが報告された。
また、経済産業省からは15年間で3兆円という価格差支援や商用車をターゲットとした重点5地域政策などにより、「水素の大規模サプライチェーンをつくり世界の主導権を取っていく」(宇田川法也資源エネルギー庁水素・燃料電池戦略室長)という講演もなされた。
展示会場では水素関連企業の出展や学生による水素研究のポスター発表も行われた