カーボンニュートラルニュース vol.34
(2025.06.26)
神戸カーボンニュートラル支援ネットワーキング
中小企業のGX推進に向け複数の
支援機関による連携支援体制を構築

そこで、一昨年に市内の支援機関が集まる「神戸カーボンニュートラル支援ネットワーキング」を開催。課題を共有し、連携支援について意見が交わされた。「どの機関がどのような支援を行っているか、最新の取り組みを共有するとともに、担当者と顔を合わせて話し合えたことにも意味があった」という。
1回目には、GXに取り組む中堅企業2社を招きヒアリングを実施。「スコープ3(※1)に取り組もうと思うが計算方法がわからない」「省エネ商品を開発したが割高になって売れない」といった生の声を聞く一方で、支援機関からはどういうことができるかの提案も行われた。「企業にとっては、今後、活用できる可能性のある施策・支援策を知る機会となり、われわれ支援機関にとっても、各機関の支援策を学ぶとともに地元中小企業のGXの取り組み状況について、生の声を聞く貴重な場となった」とのこと。
昨年、開催した2回目は成果のあった取り組みや難しかった支援策について各支援機関が率直に報告。たとえばある金融機関からは「GXに積極的に取り組む大手企業とそこに関わる中小企業を同時に呼んで勉強会を行い、有意義な機会になった」という報告も。
このネットワーキング開催以降、参加した支援機関同士の実際の連携事例も出ており、中小企業版SBT認定(※2)の取得サポートに関しては、(公財)こうべ産業・就労支援財団が申請サポート業務を、(独法)中小企業基盤整備機構近畿本部が専門家による伴走支援を行うという取り組みも生まれている。
また、支援機関の取り組み内容をひと目で理解できる「見える化シート」をメンバー全体で共有できたことも大きな成果となった。「支援機関が参考にできるだけでなく、このシートをそのまま事業者に見てもらうことで、脱炭素の第一歩を踏み出しやすくすることも可能になった」と。そのほか、それぞれの支援施策の認知が低いという課題も浮き彫りに。連携して面での情報発信力も高めていく必要があり、「そのためにも各支援者の顔が見える関係づくりは重要」と担当者。「GXのようなハードルの高い企業の経営課題に対しては単独の支援機関だけではじめから最後まですべての支援を行うことはできない。各支援機関がバラバラで支援するのではなく、それぞれの強みや持ち味を生かし、補完し合い、地域ぐるみで支援すべき。脱炭素と地域経済発展・成長の両方をぜひ実現したい」と話している。
※2 中小企業版SBT認定……中小企業が取得できる温室効果ガス削減に向けた認定。