カーボンニュートラルニュース vol.48

(2025.08.28)


水素エネルギーの研究拠点が
集まる九州大の「水素キャンパス」
各種イベントや燃料電池車の試乗で
水素エネルギーの普及も 


 九州大学が福岡市中心部から伊都キャンパス(同市西区)に移転し、水素エネルギーの研究拠点をつくりはじめて今年で20年になる。272㌶(東京ドーム60個分)のキャンパスには、水素について総合的に学べる研究機関や十数社の民間企業が産学連携による研究室を構えるなど、現在では「水素キャンパス」の別名で親しまれている。

 キャンパスには、燃料電池を研究開発する次世代燃料電池産学連携研究センターや水素の貯蔵・運搬に欠かせない素材を研究する水素材料先端科学研究センターなど、さまざま研究機関が集積。トヨタ自動車や日産など国内トップメーカーが大学と共同で燃料電池を研究開発するラボもある。

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九州大学伊都キャンパスにある水素ステーションと燃料電池車(写真=九州大学提供)

 工学部機械工学科には水素関連の研究室が9つあり、大学院では「水素エネルギーシステム専攻」で水素の製造から貯蔵、利用などについて一気通貫に学ぶことができる。大学では水素エネルギーの普及にも努めている。水素エネルギー国際研究センターには「水素社会ショールーム」があり、地域の親子や学生らを対象にした各種イベントを開いている。また水素ステーションでは、最寄り駅とキャンパスを結ぶ水素バスや大学の公用車(燃料電池車)にキャンパスで製造した水素を充てん。学生たちはそのバスを通学に使ったり、燃料電池車を授業で試乗したりしている。

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水素エネルギー国際研究センターにある水素社会ショールーム(写真=九州大学提供)

 同大工学研究院教授で水素エネルギー国際研究センター長の佐々木一成副学長は「アジアのエネルギー革命は明治期に国内石炭の3分の2を供給していたここ、北部九州から生まれた。その意味で九州大にはエネルギー研究のDNAが組み込まれているといっても過言ではない。水素へのエネルギー転換も、これまでの石炭、石油、天然ガスと同様、数十年かけて成し遂げられるに違いない。その過程で九州大が日本の水素社会をけん引できる存在になれるよう努力していきたい」と話す。

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伊都キャンパスでつくられた水素はバスの運行にも使われている(写真=九州大学提供)