カーボンニュートラルニュース vol.71
(2026.03.09)
広島大学が希少金属を含まない
「マンガン錯体触媒」により
低濃度CO₂をCOに還元する光触媒法を開発
広島大学大学院先進理工系科学研究科の鴨川径特任教授、石谷治特任教授らの研究グループはこのほど、太陽光エネルギーによりCO₂を有用な化学物質であるCOに還元する光触媒法において、低濃度CO₂に対応し、かつ触媒に希少金属を使用しない方法を開発した。
太陽光エネルギーを利用しCO₂を効率的に分解する光触媒法では、従来、ほぼ100㌫の高濃度CO₂を対象としていたが、火力発電所や製鉄所などから出る排ガスにはCO₂が数㌫から十数㌫しか含まれていない。そのため、従来技術では大量のエネルギーを投入しCO₂を濃縮する必要があった。
これに対して、上記研究グループが今回開発した方法は、あらたな「マンガン錯体触媒」を活用した光触媒を用いることで、1から10㌫の低濃度CO₂でも効率的にCOに還元するというもの。なお同グループでは、これまでにも稀少金属であるレニウム(Re)錯体を用いることで低濃度CO₂の還元を達成していたが、「今回のシステムは貴金属、稀少金属を一切使う必要がなくなった点が一番重要な進歩ともいえる。多量のCO₂を処理するためには、このことは必須である」(石谷特任教授)とのこと。
まだ基礎研究の段階で、「CO₂還元のために電子を供給する還元剤として現状では有機物を使っているが、将来的には還元剤を水に代える必要がある。さらに開発した光触媒をどのようなプラントに発展させるかなど課題はまだ残されている。ただ、今回の技術が実用化に向けて大きく寄与してくれると期待している」(同上)と話す。
従来研究と今回の研究の対比