カーボンニュートラルニュース vol.87

(2026.07.10)


九州大学・九州電力が天然水素の開発事業開始、地元エリアのポテンシャル・資源有望地選定を調査へ
NEDO事業として実施、ホワイト水素の実用化可能性追求


九州大学と九州電力㈱は、実施している天然水素の実用化に向けた技術研究開発を次の段階に移行させる。両者の提案したテーマ「九州地域天然水素資源の有望地選定に関する研究開発」がこのほど、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による2040年以降の商用化・新産業創出を目指す新技術の研究開発・事業化推進事業「フロンティア育成事業」内の今年度「地下未利用資源の活用」領域で採択された。

同NEDO事業では、「ホワイト水素」の呼称でカーボンフリーな地下埋蔵資源として注目を集める天然水素関連技術を扱っている。天然水素には、土中に自然に貯留・蓄積した水素を発見し回収する「貯留水素」と、土中で人工的に水素生成反応を促進して水素を回収する「増進水素」があるが、このNEDO事業では増進水素を取り扱っている。増進水素は貯留と比較して工数は多くなるが、地理的制約が少なくなることがメリットとして存在する。NEDOは増進水素の商用運転開始時期に関して、2040年を目標年とした上で、2030年頃までに技術基盤を整備、2035年頃までに実証を行い、それ以降の商用化・導入拡大を目指す、との全体方針を示している。

九州大学と九州電力は本NEDO事業に、2025年度事業でも採択されていた。これまで1年をかけて、九州エリアの地下の熱構造や流体循環系の把握、地下探査など将来の実用化を念頭に置いた天然水素の生産・供給・利用の技術条件の整理を行ってきた。今後はその調査・分析の蓄積を踏まえ、天然水素生成増進・回収シミュレーター開発、地下探査手法高度化、ビジネスモデルの検討、九州エリアの天然水素賦存量検討などを実施。建設・環境・エネルギー事業コンサルの西日本技術開発㈱への再委託も行う中で、調査井掘削に向けた九州エリアでの天然水素資源の有望地選定に関する研究開発を3年間実施する予定だ。

今年度のNEDOフロンティア育成事業・地下未利用資源活用領域では九州大学/九州電力の他に、国立研究開発法人産業技術総合研究所/三菱マテリアルテクノ㈱/京都大学/早稲田大学、東京大学、住鉱資源開発㈱、ENEOS Xplora㈱ら8件の天然水素ポテンシャル評価・有望地選定テーマが採択されている。


コロンブス2607
今回採択された研究開発のイメージ